日本文化体験教室|さくら 京都

干菓子の種類

干菓子の種類

茶道の干菓子

今回は、茶道で最初に習う薄茶とともにいただく、「干菓子」について詳しくお話しましょう。
茶道で使われる干菓子の分類の仕方や呼び名などは、関西と関東、特に京都など地域によって違うものもありますので、代表的な種類の干菓子を、例をあげながらご紹介していきます。

茶道で使う干菓子の種類の種類について知る!

打ち物

寒梅粉やはったい粉などに砂糖を加え、型に入れて打ち出した干菓子のことを「打ち物」といいます。
型にはさまざまな種類があり、職人による手彫りによる桜の木型が多く使われます。

落雁(和三盆)

落雁(和三盆)

落雁は、寒梅粉やみじん粉とよばれる、もち米を加工した粉や大麦を粉にしたはったい粉、砂糖、しとり(砂糖と水を混ぜたものや水飴など湿り気をもたらすもの)を混ぜ合わせて型に入れ、打ち出した干菓子です。
初期の頃は単調な形だったようですが、江戸時代後期に鶴亀、鯛、海老、松竹梅など、豪華で華麗な色使いの落雁が慶事や仏事の引出物として好まれていました。
現在は四季を表す干菓子として、茶道の茶席などで用いられます。
また、砂糖類に和三盆糖を用いる落雁は「和三盆」ともいわれます。
和三盆糖は徳島県や香川県などで伝統的な製法により作られる日本独自の砂糖で、盆の上で三度研ぐことがその名の由来です。
和三盆は、熟練の職人が丹念に作り上げた細かい粒の砂糖を使っているため、口どけがよく風雅な香りが魅力です。
名称は明の軟落甘 (なんらくかん) から転訛したとも,また形が落雁に似ているところから近江八景の一つ堅田落雁になぞらえたともいわれる (江戸時代の『類聚名物考』) 。

雲平

雲平糖

雲平糖(うんぺいとう)は、寒梅粉と砂糖と蜜を合わせて練り、着色し薄くのばし、型で抜いて乾燥させた干菓子です。
関西では「生砂糖」、関東では「雲平」と呼ばれています。
代表的なモチーフとして、紅葉や銀杏、菊、松葉などが使われています。
製法の違いで、パリっとした薄さにもしっとりとして弾力が味わえるのも大きな魅力。
茶道のお茶会に提供されるだけでなく、節句などの行事のお菓子としても流通しています。
幸田露伴の「いさなとり」(1891)に「金鍔(きんつば)やら雲平(ウンペイ)巻煎餠手まかせに攫(つか)んで」と記載がある程、当時は一般的だった和菓子。

押し物

「押し物」は、打ち物と同様に型に入れ、押し固めた後、包丁で切って形成する干菓子です。
打ち物より水分を多く含んでいるものが多く、口溶けが良いことが特徴です。

村雨

村雨

餡と砂糖や寒梅粉などを混ぜ、成形用の木枠に入れて押しぶたで押さえ、適当な大きさに切ったものが村雨という干菓子です。
成形するために蒸したものも多く、蒸したものは時雨羹ともいわれます。
関西では、餡を濾してそぼろ状にしたものを蒸し固めた“時雨生地”のことを村雨と呼ぶこともあります。

塩釜

塩釜

塩釜は、みじん粉と砂糖、塩、塩漬けのしその葉を合わせ枠に入れて押し固めた干菓子です。
宮城県塩釜港附近で売り出されたことが名前の由来。
甘みが強い菓子が多い中で、ほんのり感じられる塩味が上品な干菓子なので、お茶の味も引き立ててくれます。
また、しっとりした舌触りも魅力の一つです。

掛け物

「掛け物」は、砂糖液やすり蜜などをかけて作る干菓子です。

金平糖

金平糖

金平糖は、16世紀後半に宣教師によって伝えられたポルトガル伝来の南蛮菓子の一つで、デコボコとした砂糖菓子です。
17世紀末に長崎で盛んにつくられるようになった。その後,上方,江戸へと広まり,井原西鶴の『日本永代蔵』にもその製造法が書かれています。
回転する釜の中に入れた芥子の実に、長い時間をかけて何度も砂糖蜜をかけることで、あの独特な星のような形になります。
カラフルな色合いの愛らしい菓子です。

砂糖漬

砂糖漬

砂糖漬は、砂糖液で煮詰めた果物や野菜に、砂糖をまぶした和菓子です。
砂糖を多用する南蛮菓子にちなんで「南蛮漬」ともいわれていたようですが、現在の南蛮漬けは揚げた魚を酢で漬け込んだものを指します。
砂糖漬に使われる食材としては、クルミ、金柑、生姜、レンコンなど、さまざまなものがあります。
初夢の「一富士二鷹三茄子」から初釜には茄子の砂糖漬を出すこともあります。

飴菓子

古くは麦芽糖を主原料として作られていた飴は、江戸時代から種類が増えたとされます。
茶道では「有平糖」や「翁飴」が提供されることが多いです。

有平糖

有平糖

有平糖は、16世紀後半に伝えられたポルトガル伝来の干菓子です。
ポルトガル語でalfeloa(アルフェロア)つまり「砂糖菓子」であるから「有平糖」では「糖」が重言になっている。またアルヘル、アリヘイともいう。
砂糖と水あめ、それから水を煮詰めて作られる有平糖は、光沢があることに加え、飴の特性から細かな成型ができるので、昔から飾り菓子としてお祝いものや供え物に使われてきました。
紅白を結んだ「千代結び」や貝や小花などの形のものなど、さまざまな形の有平糖が作られています。
太閤記(1625)にも「下戸には、かすていら、ぼうる、かるめひる、あるへい糖、こんぺい糖などをもてなし」と記載があります。

翁飴

翁飴(おきなあめ)は、水あめや砂糖に寒天を加えて固めた後、表面にみじん粉などをうっすらとまぶした干菓子です。
こしと粘りがあるゼリー状の平たい四角形をした飴で、薄い布で覆われたような見た目が上品さを感じさせます。 尾崎紅葉の「多情多恨」(1896)に「粗粉(あらこ)落雁に翁飴、松風が少々」と記載があります。

種物

「種物」は、餅粉などを水で溶いた生地や餅そのものを薄く焼いた干菓子です。
種物の代表的なものは「最中」の皮ですが、茶道では麩焼煎餅が用いられます。

麩焼煎餅

麩焼煎餅は、餅粉を水で溶いて丸く焼いた白い煎餅で、麩のような軽さからこの名がつきました。
麩焼煎餅は、厚さによって種類が分かれています。
主に1枚でそのまま食べる「厚種」と、“すり種”とも呼ばれる2枚で餡などを挟む「薄種」です。
口の中ですっと溶けていく素朴な味わいが特徴です。
季節の風物や行事にちなんだ意匠の焼印を押したものや、砂糖蜜を刷毛などで塗ったものもあります。

そぎ種

そぎ種は麩焼煎餅の薄種を半分にそいだもので、「へぎ種」ともいわれる干菓子です。
そいだ2枚の中に味噌餡や梅肉などを挟みます。
そいだ生地が薄く、挟んだ中身が透けて見えることが特徴で、これに焼き印を押されたものが茶道のお茶会ではよく出されます。

半生菓子

茶道の干菓子には明確な水分量の分類がないため、一部の「半生菓子」も干菓子として扱われます。

州浜

州浜

州浜は、大豆を炒って挽いた「州浜粉」に砂糖や水飴を加えて練った半生菓子です。
本来、大豆粉(きな粉)の天然色である薄茶色をした菓子でしたが、近年では青えんどう豆の粉を使った緑のものも現れました。
当初は、浜辺や入り江の景色を意匠化した「州浜紋」の形に作られたのでこの名がついていますが、今では団子状にした形状の州浜も売られています。
茶道では、主に松葉や蕨などの形をしたものが出されます。
江戸時代には州浜を「すあま」と呼んでいた例もあり、混同が見られる。
現在では、州浜粉を使った菓子全体を「州浜」・「すはま」と呼ぶようになっている。

寒氷

寒氷は、煮溶かした寒天に砂糖を加えて煮詰め、温かいうちにすり込んで乳白状にしてから色付け・型抜きした半生菓子です。
「琥珀糖」を混ぜて再結晶化させたものと同じなので、「すり琥珀」ともいわれます。
外側はしゃりっとしながら、やや練りのあるしっかりした食感で、全体的に甘みが強めです。
クッキーの生地のように型抜きができるので、四季折々のさまざまな風物が作られます。

干琥珀

干琥珀は、寒天と砂糖を煮溶かして固めた「錦玉羹」を、薄く切って型抜きして乾燥させた半生菓子です。
「艶干し錦玉」という名で呼ばれることもあるほど、可愛らしい見た目です。
また、もともと「錦玉羹」をクチナシの実で琥珀色に染めたもののことを「琥珀羹」や「琥珀糖」と呼ばれていたことから、それを乾燥させたものが「干琥珀」と呼ばれるようになりました。 表面はカリッとした硬さがあり、中は柔らかなゼリー状になっています。