茶の湯において茶を点(た)てたり、炭を置く行為をいう。
古くは手前と書いていたが、現在は、炭を置く行為である「炭手前」にのみ手前の字を使い、ほかはすべて点前の字をあてている。
中国宋(そう)代の茶書『茶録』に「点茶」とあって、点前の語の初見となっている。
炭手前のほか、茶の点前の仕方は、薄茶(うすちゃ)点前と濃茶(こいちゃ)点前が基本となっている。
その手続については、茶道の流儀によって少しずつ微妙に異なっており、それが流儀存続の意義づけにもなっている。
十一月は一年の中でもっとも大切な時期とされており、"茶人のお正月"と言われています。
"茶道"では毎年十一月のはじめには"炉開き"という行事が行われ、この日より「風炉の時期(5月~10月)」まで用いた「風炉」をしまい席中に設けた「炉」に掛けた釜を用い湯を沸かします。
当然のことながら点前も変わり、道具においても「釜」は風炉用より大きい釜を使い、香合は主に陶器を用い、香は煉香を使うなど季節を感じる変更がおこなわれます。
笠釜
亥の子餅・織部饅頭/紅葉
茶壷・茶臼・無釉水指
鶴宿千年松・開門多落葉・紅葉
一般に茶の湯の世界は11月初旬、現在の暦での立冬(およそ7・8日ごろ)をもって新しい年のはじめとします。
この日を迎えて茶室の「炉」をひらき、春に摘んだ新茶を葉茶の形で茶壷にたくわえたものを、壷の口封を切って使いはじめます。
「口切」の時節というのがこれにて、新茶の使いはじめのこの時期を茶の湯の世界での正月とし、茶の庭の垣や樋の青竹を新しくしたり、茶室の畳を改め、障子を張替えるなどのことが行われます。
この「口切」「開炉」の重なる時節の茶事は正午に客を案内して始められます。
正午から約4時間にて懐石・濃茶・薄茶をもてなす「炉正午の茶事」が最も正式な茶事であり、茶事の基本の型をもっています。
納釜
洋菓子/雪の結晶
クルス茶碗・筒茶碗・手桶水指
無事是貴人
笠釜
常磐饅頭・えくぼ饅頭・花びら餅・ぜんざい/干支・千代結び
嶋台茶碗・筒茶碗
白雲自去来
広口釜
須賀多餅・福俵・鶯餅/節分
絞り茶巾・包み帛紗・鬼桶・筒茶碗
鬼の念仏・春光日々新
透木釜
引千切・わらび餅/雛あられ・雛
広口水指・
立雛・利休忌・春色無高下
釣釜
桜餅・花見団子/桜
自在鈎・筒茶碗
一華開五葉
毎年五月より、それまで「炉の季節(11月~4月)」に開いていた「炉」を畳で塞ぎ、「風炉」を用いて湯を沸かします。
"[茶祖]村田珠光(1423-1502)"が初めて四畳半に"炉"を切り、その後"[茶人]武野紹鷗(1502-1555)"、"千家開祖/抛筌斎千宗易(利休)(1522-1591)"が"炉"の点前を定めるまでは四季を問わずすべての時季において"風炉"が用いられていました。
当然のことながら点前も変わり、道具においても「釜」は小振りの風炉用を使い、香合は主塗物、一閑、木地などを用い、香は香木を焚くなど季節を感じる変更がおこなわれます。
霰巴釜
粽(ちまき)・柏餅(かしわもち)・茶摘饅頭/兜
嶋台茶碗・筒茶碗
薫風自南来
霰巴釜
水無月・若鮎・くず衣/
名水点
雲収山岳青
霰巴釜
行者餅・水羊羹・氷室・若鮎/干支
平水指・筒茶碗
白雲抱幽石
朝鮮風炉
麩饅頭・水羊羹/干支
平建水・平茶碗
独坐大雄峰
富士釜
月見団子・常磐饅頭・えくぼ饅頭・花びら餅・ぜんざい/干支
曲建水・筒茶碗
掬水月在手・天然忌・円相
鉄風炉
栗/
細水指・中置
吾心似秋月